呼吸困難に陥った母は
有無を言うことすらできず管につながれた。

それから3ヶ月
管から解放されることもなく
母は逝った。

管につながれ
母は苦しかったのだろうか?
早く、終わらせてほしかったのだろうか?
何も言えなくなってしまった
母の気持ちは分からない。

母と、二人きりになった病室で、僕は考えた。
こういうのを、終末医療と言うのだろうか?
こういうのを、延命治療だと言うのだろうか?
もしこれが、延命治療だとしたら
手術、それ自体が延命治療ではないのか。
輸血だってそうじゃないのか。

言わば言え、何とでも言え。

そんな中でただひとつ、僕にも分かった事がある。
母という存在は
生きているという、ただそれだけで
僕に希望をあたえてくれる存在なんだ

ただそれだけが、こんな僕にも、分かった。