[Iさん]
彼との出会いがなければ僕の目にはまだうっらとベールがかかったままだろう。彼の策略(冗談です、念のため)にのせられて、ある組織の支部長を引き受けた僕に、いろんな集会への参加を要請してきた。日頃の僕を見て、ヒマそうな人だとでも思っていたのだろう。実際にヒマな僕だがそう度々家を空け、集会に行くわけにもいかない。が、彼の困ったような顔を見ると本当にヒマなものだから行かないわけにもいかなくなり、つい「いいよ」となるのだった。
彼をはじめいろんな人との出会いが、無色透明だった僕を、ほんのりと赤く染めていった。30代の、やや遅い自己変革の始まりだ。
本命は、いつも遅れてやってくる・・・なんちゃって。