[教え子Kくん]
己を表現するという事は自分自身をよく見つめるという事でもある。その手段として僕は写真を選び、その道具としてカメラやレンズ、そして感材を使いわける。また、必要だからこそ技術も修得する。
某校まんが科の写真講師を引き受けた時、写真に何の感心もない彼らに伝えられる事といえば、このような事以外には考えられず、それなりの授業を心がけた。
しかし、技術の修得を最優先の課題にかかげる専門学校において、僕のような考えの者は必要とされず、わずか二年でクビになった。「他人に何かを教えようとする者は、自分自身の位置付けを明確にする必要がある」。彼らとの交流でこう学んだ僕は、ある決意を固めた。