小泉さんが首相となり、マスコミが持ち上げるものだから高い支持率を得ています。今朝のテレビでも「昨日首相は新しい改革を打ち出しました。一日一回はテレビの取材を受け、テレビに出演するという事です。素晴らしいことです」などと持ち上げておりました。果たして一日一回テレビの取材を受け、出演する事が改革なのか、私はただの宣伝だと思いますが、今のマスコミのレベルが問われる姿勢だと思います。
 所信表明演説で最初に彼は「大任を与えてくださった国民ならびに議員各位のご支持とご期待にこたえるべく、国政遂行に全力を傾ける」と言っています。国会議員は、国民全体の奉仕者であるはずですが、大任を与えていない私の期待にはこたえるつもりはないようです。いま不況にあえいでいる国民の、日本経済をなんとか建て直してほしいという願いよりも、まず首相公選制について語るような彼ですから、我々の側に立っていない事は明らかではないでしょうか。
 改革改革と37回も叫んだアジテーターの目指す改革とは、我々弱いものをいっそう苦しめる改革のようです。だいたい「改革」といって大見得をきり、強行されたものにろくなのがありません。私が民商に入って12年くらいになりますが、その間に大きな改革が2回ありました。税制改革であり、政治改革です。すでにご存知のように、税制改革とは消費税の導入であり、政治改革とは小選挙区制と政党助成金でした。いずれも私達の願っていた改革とはかけはなれています。今回の構造改革にしたって、多くの人は政財官の癒着を断ち切るような改革を望んでいることと思います。でもそういった改革は彼の発言からは見えてきません。
 彼のいう構造改革とは、まず不良債券の処理です。「不良債券の処理」といえば聞こえはいいのですが、いまの不良債券は大部分が中小業者の借金です。まじめに事業をやっても景気が悪く、売上がのびないので借金が返せない。これが不良債券となっているのです。けっしてバブルに踊ってできたものではありません。そういったものはすでに処理が済んでいます。はっきり言いますと「不良債券の処理」というのは、我々みたいな中小業者につぶれてもらうことだと言ってもいいと思います。一方、大企業にはリストラをすれば不良債券は税金で処理してあげますよ、と言っています。ですから、これをやりますと130万人もの失業者がでるという試算もでています。痛みに耐えろといいますが、耐えられるような痛みではありません。また、痛みを分かち合おうなどとも言っていますが、政策の失敗によって生じた痛みを、なぜ私達に押し付けるのか。押しつけられるいわれなどないです。「米百俵」を美談仕立てで得意げに語っていますが、添付の資料を見て下さればお分かりのように、長岡藩は痛みを庶民に押しつけてはいません。政治の中枢にいた人達が痛みを分ちあっております。
 また、「財政を再建する」にあたって日本の財政を一番ひどい状態にしてきた年間50兆円の公共事業や、軍事費については「減らす」とはけっして言いません。しかし社会保障については「負担が軽ければいいではすみません」とはっきりと言いましたし、「自助と自立の精神を基本と」するとも言いました。「自助」とは自ら助けること、「自立」とは自分で立つことです。国民みんなが自分で自分を助け、自分で立てるのだったら社会保障なんて必要ありませんし、国すらいりません。私は政治や行政の役割というのは、今困っている人を救うことにこそあると思っています。そうでなければ、国や政治の存在意義はないと思います。
 そして驚いたことに、所信表明では消費税について一言も触れていません。国会答弁では税率を上げる考えはないとまで言っていますが、本当でしょうか?竹中大臣は最低15%くらいは覚悟してもらわなければいけない、と言っています。小泉のポーズは選挙目当てのポーズだと思います。参議院選が終わると待ってましたとばかりに税率アップをいうでしょう。
 もうひとつの大きな問題は、平和憲法をかえようとしていることです。そのためにとっつきやすい首相公選制を打ち出してきていますが、いまの日本の国でこれをやったら独裁になる危険を大きくはらんでいると思います。国会を見てください、ろくに審議もせず、自公保の数の論理が横行しています。こういった事がもっとひどくなるだろうと危惧します。首相公選制をとっているアメリカやロシアでは、地方議会の権限が強いんです。そんな国と日本を一緒くたにしてもダメなんじゃないでしょうか。
 人権問題については我々の側にも足並みの乱れがあるとおもいます。先日の憲法集会で気になった発言がありました。青年を代表しての発言で、彼は民商の青年部にも属しているのですが「憲法で守られているのが公務員や大企業の労働者だけであってはならない」という意味の発言でした。果たして彼等は憲法で守られているのでしょうか。1950年代に、レッドパージという思想差別による首きりが公然とおこなわれました。いまでも「職場の中に憲法を」といって闘っているような状況です。たしかに我々自営業者からみれば恵まれているように見えます。でも、その恵まれている部分は天からの授かり物ではなく、彼等自身が団結し、闘って勝ち取ったものです。でもその闘いをやめた職場ではどうなっているでしょう。8時間労働が10時間となり、3交代制だった職場が2交代制になったり、サービス残業が横行しています。
 ということは、我々業者も自分達自身が団結し、闘ってこそ権利を手中にできるのだと思います。「納税者権利憲章」の制定では、共産党をはじめとする国会議員の方々が、党派を超えて制定を急ごうと頑張ってくれています。これは、私達の運動が実りつつあるということです。
 こういったいい面はのばし、悪い面は断ち切るためにも、今度の参議院選は非常に大事だと思います。どこが我々の味方なのか?だれが我々の側にたってくれるのか?民主党でしょうか?構造改革について「私達の方が元祖だ。改革のスピードをもっとあげろ」といっています。社民党でしょうか?消費税で裏切られました。これ以上は耳にタコができているでしょうから言いません、もうお分かりだと思いますので。